STORY11.「ワッフルへの想い」
店名のR、それはroseのR。綺麗に植えられたバラを見ながら、扉を開けると、そこにはリラックスした空間が広がる。選び抜かれたアンティークのインテリア、そこに寄り添うように散りばめられたバラのモチーフ。“妻の好きなバラ“でこだわりの内装に仕上げたと、楽しそうに話される森田さんご夫婦。仲の良さが印象的だ。お店では、奥さんが料理、ご主人が自慢の珈琲を淹れながら接客と、協力して店を営んでおられる。お二人が最も大事にされているのは、「来てよかった」と思ってもらえるようなサービスの提供。きっと、常に努力されているのだろう、幅広い世代の方から愛されている。
お店を初めて10年、一番の人気メニューは、奥様ご自慢の手作りのハンバーグだそうだ。けれど、もっと地元のために何かしたいと、最近は、こだわりの食材を使った「ワッフル」に力を注ぎ、メニュー開発にも余念がない。パン職人の経験もあるご主人が今までの技術や知識を生かし、奥さんとともにオリジナルワッフルの開発を日々試行錯誤しているそうだ。ワッフルが好きな世代の娘さんに意見を聞くのが一番と、「毎回アドバイスをもらうんだ。」と嬉しそうに話された。 私たちが最初に交渉に伺ったとき、企画内容を説明すると、お二人ともどこか神妙な顔つきに。メリットとデメリットを考えた時、「お弁当」「野菜」を使う企画は、成功するには大きな壁が存在するよという言葉をいただいた。私たちにとっても新たな課題への気づきとなり、改めて考え直す良い機会となった。しかし、参戦は正直無理か…、と肩を落としていたところ、後日なんと参戦するというお電話がきてびっくり。木津川市を一緒に盛り上げたいと思ってくださったようだ。
そうして、しばらくするとミル弁ができたという知らせが入り、私たちは急いでカメラを持って取材に向かった。そこで目にしたのは予想を遥かに超えたミル弁。カラフルなワッフルがミルフィーユ状に積み上げられている。「これは…、スイーツ。こう来たか…。」と、きづのもりメンバーはびっくり、しばらく声もでなかった。そんな私たちを見て、「面白いものが来たと驚いてもらいたい」とご主人はニヤリと笑われた。名付けて「木津川ワッフルツリー」。層になったそれぞれのワッフルにはお二人がこだわった木津川市のお茶や、野菜が使用されていた。地元の食材を使い、その美味しさから食材の地へも興味を持ってもらえるように考えたとのこと。木津川市への想いとワッフルへの愛が詰まった「ミル弁」だ。
「お茶の京都博 へうげもの茶宴」当日。他とは異なるその見た目に、思わず「これはミル弁!?」と驚かれる方もいた。しかしその可愛らしい見た目に惹かれて購入した方も多く、若者にも喜ばれていた。奥様の優しさがこもった料理や、こだわりの一押しワッフルを楽しめる「ワッフルファクトリー+ café ’R 」。落ち着いた空間でホッと一息、上質な「おもてなし」を受けられるこの店に一度足を運んで見てはいかがだろうか。